<港湾都市ティラワに経済特区>
ミャンマー政府は2011年1月に、「ミャンマー経済特区法」を制定し、外国資本の誘致を進めている。南部のダウェイを初の経済特区に指定し、工業団地、港、発電所などを整備。今後、ヤンゴン近郊にある港湾地区ティラワに日本企業の集まる経済特区を創設し、そのインフラ整備は、日本が中心となって請け負う見込み。
投資家への優遇措置も取っており、韓国人投資家などから多くの土地の購入があるという。それにともない、土地価格も高騰しはじめている。
昨年12月に、米・クリントン国務長官がいち早くミャンマー入り。経済制裁時、投資に二の足を踏んでいた日本からも、昨年12月に玄葉光一郎外相が9年ぶりに、1月中旬には枝野幸男経産相が訪問し、経済関係強化に乗り出した。
軍政下からすでに投資を進め、経済制裁時も支援国となっていた中国の影響力は依然強い。09年の段階で、次期国家主席就任が確実視されている習近平国家副主席が訪問している。一方で、ミャンマー政府は、中国が建設を請け負っていたダムの開発を中止するなど、中国一辺倒になることを避け、欧米各国、日本などとのバランスを取ろうとしている。
<課題は電力供給>
ただし、インドネシアなどと同じく、ぜい弱なインフラが課題だ。とくに、電力不足が深刻となっている。このところ水力発電設備の拡充が進み、電力供給量も急増しているが、それでも工場などでは国からの電力供給ではまかなえず、自家発電を行なわざるを得ないというのが現状。通信インフラも、都市部以外ではまだ整備が進んでおらず、経済特区を中心に急ピッチで進められている。
政治的にも課題はいくつも残されている。軍で権力を握っていたタン・シュエ元国家元首や軍の強硬派とどう折り合うか。国軍の政治介入をどう防ぐか。民主化の象徴的存在で、国民の支持のあるアウン・サン・スーチー女史との関係を改善し、どう協力し合うか。テイン・セイン大統領の改革がどこまで進むのか。乗り越えるべき壁は多い。
かつては、「ゴールデントライアングル」と言われる麻薬の生産地、取引所のある国として悪名を馳せたこともあるミャンマー。多くの日本人にとってミステリアスな国だったが、悪いイメージを払しょくし、軽視できないアジアの一角として、急激に昇ってきている。
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